断章のグリム 特別企画
キャラクターに愛着を持たない?

松坂 リカ※5や入谷※6みたいに途中から登場するキャラも、最初から設定をお決めになってたりするんですか。
甲田 一部ぐらいで……全部は決めてませんね。
松坂 原作では入谷は存在は匂わされていたのに、ラストのラストでの登場でしたね。
甲田 あれはもう一人いるって設定だけ決めといて、そのまま忘れてたんです(一同笑)。「いつか出そう」と思いつつ、特に出す用事も無いのでそのままほったらかしにしてたという。
コミック担当 作品的にはすごく面白いタイミングでしたね。
甲田 思ったよりこのキャラ受けたぞって(笑)。
松坂 人気キャラなんで漫画では先に出しちゃいましたけれど…良かったのかどうか…。
コミック担当 読者の反応が良かったり、動かしやすかったり、甲田先生自身が気に入られて、予定より出番が長くなったようなキャラはいるんですか?
甲田 ……どうせみんな死ぬし(一同大笑)。意外と私はキャラクターにそれほどの愛着を持たないタイプで、どっちかと言えばコマだと思ってるんですね。コマはコマとして掘り下げますけど、愛着を持って「このキャラにもっと活躍して欲しい」とか「このキャラは殺したくないなあ」とか、そういうのはあまり思ったことがない。むしろ「このキャラは殺したくないなあ」と思ったら殺すべきだと(一同笑)。カタルシスとして。
松坂 確かに読んでいてインパクトがありますよね。「まさか殺すとは」って。
甲田 ただ主人公格のメンバーになると話を回すのに必要なコマとして配置したので、この辺で減られると話が回らなくなるなあ、というのはありますけれど。
松坂 私は●●と▲▲▲は(未読の方にネタバレを避けるため伏字)、最後は死んじゃうのかなって読んでました。
甲田 みんな死ぬと思ってましたね、あのふたり。不思議なことに(一同笑)。
和田 みんながそういう風に思っているといじらないんですよ。甲田さんの性格としては。みんなが愛着を持ってるなあと思うと殺したくなってくるんです。一番いい死に方を探っていくんだと思うんですよね。
松坂 じゃあ、あえて好きなキャラは応援しないほうがいいんですか…? 目立たないように(笑)。刊行当時、人気の高かったキャラといえば誰なんでしょうか。
甲田 その辺は私はよく把握していないんですよね。
和田 『グリム』はメイン格のキャラはそれなりに人気があったんでしょうが、『Missing』の時に比べて、熱狂的にひとつのキャラに入れ込むといった感じではなかったですね。それよりは「このストーリーがこれからどうなるのか」「次の童話は何なのか」みたいな話題の方が盛り上がっていたように思います。
甲田 『Missing』で教育されたのか、みんなキャラクターが死ぬことに関しては諦めがあったような気がするんですよ(一同笑)。
和田 『Missing』は、最後で裏切られたと思ってる人たちも多分いると思うんで。
コミック担当 『グリム』が終盤に向かうにつれて「準レギュラーの中から誰から脱落していく?」って話題が2ちゃんねるの感想スレッドであったらしいですね。
和田 2ちゃんねるだとそうでしたね。そういった情報は、あまり僕の方からは伝えないようにしています。『Missing』の時の人気キャラは亜紀※7だったんですけど、あんな風にしちゃったなぁと。最後面白かったからいいんですが。「ああ…やっちゃたー」みたいな。
コミック担当 何となく悲惨なのはわかってたんですけど。まあ面白いからいいかって。
甲田 あれは……私に一番近いキャラなんですけどね。だからこそ、あれは幸せにはなれないキャラだってわかってる。
和田 以前からそう言われてましたよね。『グリム』の場合はあんまりそういったキャラクターはいなかったかもしれませんね。
甲田 言い方はあれなんですけど、デビュー前のアマチュアっぽい情熱なんかは全部『Missing』で置いてきたんで。『グリム』はある程度理詰めで作ろうとしていました。
松坂 キャラクターを作られる時は、知人を投影したり、俳優だとかをモデルにするようなことは…。
甲田 ないですね。結局自分の分霊になっちゃいますね。

《※5》リカ▶拠点を持たず、ネットで管理している〈ロッジ〉の世話役。つかみどころのない、謎の女性。
《※6》入谷▶入谷克利。神狩屋ロッジに所属するが、各地の応援に向かって出張中のため、原作では終盤まで名前も明らかにされない。
《※7》亜紀▶木戸野亜紀。クールで毒舌だが、その性格は、幼い頃に受けた酷いいじめに起因する。