『マリン・エクスプレス』特別インタビュー!

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手塚治虫が遺した夢のアニメが、マンガへと生まれ変わる!マンガ版『マリン・エクスプレス』誕生秘話<第3回>

37年の時を経て、手塚治虫が自ら描き起こした絵コンテをもとに、アニメで描かれなかった構想や新たな解釈を取り入れたマンガ版『マリン・エクスプレス』。今回のインタビューでは手塚プロダクションの中島信さんと石渡正人さん、マンガ家の池原しげと先生の3人に、企画の立ち上げから、手塚先生の名作をマンガで今に蘇らせるうえでのご苦労まで、幅広く語っていただきました。

出演者Profile

株式会社手塚プロダクション 出版局出版開発事業部長 中島信さんProfile

株式会社手塚プロダクション 著作権事業局 クリエイティブ部部長 石渡正人さんProfile

マンガ家 池原しげと先生Profile

<第3回>いよいよ発売された第2巻の見どころと、今後のさらなる展開を関係者が語る!

――これから発売を迎える2巻について、見どころを石渡さんと池原先生からそれぞれ教えていただけますか。

石渡「2巻では、マリン・エクスプレスの車内で起きた連続殺人事件にケリが付いて、いよいよ大きな陰謀が見えはじめる巻になります。1巻の冒頭で殺害されたシャイロックと、マリン・エクスプレスの関係者であるナーゼンコップ、クレジットの3人が大学時代の友人だったという事実が判明したり……ストーリーの核になる「マリン計画」の始まりも描かれていきます」

池原「ミリーとクレジットの親子や、キリコとクレジットなど、登場キャラクターたちの人間関係についても意識した上でしっかり描いています。前回もお話した通り、ストーリー全体の流れはアニメと大きく変わりませんが、その中で描かれていくドラマはアニメとは違ったものに感じてもらえるんじゃないでしょうか。読んだ方に楽しんでもらえると嬉しいんですが……ちょっと不安もあります」

石渡「雑誌で連載されている作品だと、アンケートなどで読者の反応がわかりますが、今回の『マリン・エクスプレス』についてはコミックス描き下ろし作品ということもあって、読んだ人からのフィードバックがなかなか得られないので、ちょっと判断が難しいですよね」

池原「目に見えた評価が得にくいと良し悪しの判断があいまいになって、自分たちでもシナリオを決める際にどんな形にするのがベストなのか、やっぱり悩みます。雑誌の場合だと、アンケートハガキで読者から良かった、悪かったが逐一伝わってくるので2ヶ月後、3ヶ月後に対応していけるんですが、今回はそういった反応がないので、なおさら難しさを感じています」

石渡「でも、実際に作っているスタッフとしては、1巻より2巻のほうがより面白くできたという手応えはありますよ。1巻は説明する部分も多くて、やや盛り上がりに欠けるところがあったりしたと思うんですが、2巻からは群像劇としていろんな伏線も回収しながら、じわじわと面白さを増していきます。1巻で残された謎が、2巻で明らかになっていたりもするので、1巻を読んでいただいた方はぜひ楽しみにしていただきたいです。未読の方もぜひ1、2巻をまとめて読んでいただいて、面白さを味わっていただけるとうれしいですね」

――最後に2017年の『マリン・エクスプレス』と、手塚プロダクションの抱負などをお聞かせ下さい。

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中島「『マリン・エクスプレス』はいよいよ2巻が発売となりますが、これから発表されるモーションマンガにもご期待いただければと思います。手塚プロダクションとしては、2017年の後半に手塚先生の生誕90周年を迎えますから、全社を挙げていろいろな企画を計画しています。春からは『アトム・ザ・ビギニング』のTVアニメがNHKで始まりますし、ほかにも舞台や商品化、出版と、まだ発表を控えたものがいろいろあります。
 また海外に向け、さまざまな方法で手塚作品の多言語翻訳プロジェクトなども進めていく予定ですし、全世界にさらに手塚作品を広めていきたいですね。マンガはアニメなどに比べるとコスト面をだいぶ抑えられるので、アジア圏をはじめ、今までマンガが届いていなかった地域に向けて積極的に広められるといいなと思っています。もともと、紙と鉛筆が1本あればできるものだったわけですし……なんていうと池原先生に怒られちゃうかもしれませんが(笑)」

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池原「いや、もともとマンガって制作費をかけずに提供できる娯楽だと、僕自身が思ってますから。極端な話をすれば、時間さえかければひとりでも描けるものですし。昔は描く側にとっても見る側にとってもお手軽なものだったんですよ。雑誌が1冊40円とかだったわけですし(笑)。もともとは安く、簡単に作れて面白いというのが第一で、絵も美術家さんみたいにデッサンが正確でなくても、パッと見て書かれたものが何なのかがわかればよくて……ヘタな絵でも、読んだ人が「可愛い、かっこいい」と感じられればよかったですから。そういった「わかる、感じる」ものであることを含めて、手塚先生は「マンガの絵は“記号”だ」といっていたんだと思いますが、今の日本ではそれぞれのマンガ家にしか描けないいろんな“記号”が生み出され続けて、世の中に定着している。つくづく日本のマンガって日本独特の表現方法だと思いますね……って、なんだかマンガ論になってしまいましたけど(笑)」

石渡「『マリン・エクスプレス』に関していえば、来年発売される3巻で完結を迎える予定ですが、並行して海外向けの翻訳なども計画中です。それもあって、海外の人がわかるような内容に仕上げることも意識していますね」

池原「今は、海外の人で日本のマンガを読む方も多くなってきていて、その反応も決して悪くないんですよね。そういった人たちは日本のマンガをアメコミなどとは違う、「マンガ」として見てくれているので、受け入れられる土壌はあると思います」

石渡「3巻が出たときには、ぜひ何か賞を取って再アニメ化とかにならないかと期待してるんですが……」

中島「3巻に乞うご期待ください(笑)」

<第2回>手塚作品の人気キャラ総出演の群像劇! 手掛けるスタッフにもさまざまなこだわりが!

――前回、マンガ版は設定などを現在の状況に沿うように変更されているというお話をうかがいましたが、逆にアニメと同じ部分もあるわけですよね。

池原「ストーリー背景の設定で変わっている部分はありますが、根本的な流れや設定はアニメと同じですよ。ただ、やっぱりアニメの配役と別のキャラクターに変わっている部分など、見た目の部分については、新しくこのマンガから作品に触れる人はいいけれど、昔アニメを見た人は「あれ?」となってしまうかもしれません。オリジナルを何度も見返しているアニメ版のファンの方から、「コレは違うぞ!」みたいなご意見も出てくるだろうと思っています。その違いも含めて、楽しんでもらえると嬉しいんですけどね」

池原「アニメで主人公だったロックの設定は、マンガ版だとまったく違いますからね。代わりに別の、マサトというキャラを立てています。アニメでは影も形もなかったガールズバンドのマリンEXも出てきますが、あれは完全に僕の趣味です(笑)」

――ちなみに、マリンEXでは誰がお気に入りですか?

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池原「実は、今のあのバンドの中に自分のお気に入りの女性キャラは入っていないんですよね(笑)。当初は初期の手塚作品のヒロインとして描かれたミッチイをボーカルに据えたいと考えてデザインを進めていたんですが、いろいろ検討した結果、今のチャッピー(和登千代子)になったという経緯があって。

 ガールズバンドを新しく追加したこと自体は、ニコニコ動画とかが好きな、若い人に向けてちょっとフックになる要素を入れておきたいと思ったからなんですが(笑) 一応モデルは「Gacharic Spin」というガールズバンドで、TVアニメの『ドラゴンボール改』のエンディング曲を提供したり、AKB48の演奏指導などを担当したこともある実力派なんですよ」

――アニメ版にはいないキャラクターもかなり出てきますね。

池原「キリコなんかは、アニメにもいなかったまったく新しい役どころのキャラクターとして出ていますね。手塚マンガのオールスター作品ということで、石渡さんと相談してアイデアを出し合いながら追加するキャラクターを決めています」

石渡「2巻になるとサファイア王女が出てきますし、サタンやケンイチも出てきてキャラクター的には1巻よりさらに賑やかな感じになりますよ」

池原「基本的なルールとして、メインでストーリーに絡んでくるキャラクターはすべて手塚先生のキャラクターにしていて、僕のオリジナルキャラは本当に端役。民衆とか(笑)。ちゃんとセリフのあるような役どころには、全員手塚キャラを使っています。でも最初の頃は、描き方や設定についても、スタッフの間でそれぞれ主張があったりしました」

石渡「アニメの原作がどうこう、キャラクターがどうこうという部分だけではなく、ストーリーまで含めて意見を合わせるためにどうしてもぶつかりあってましたね(笑)」

――多彩な人気キャラクターが登場する、スターシステムならではの難しさもあったんでしょうか。

池原「キャスティングというか、役どころについては基本的にはこのメンバーで話し合って決めましたが、そこではあまり揉めなかった……ですよね?」

石渡「企画の立ち上げのころ、どのキャラクターを主役にするか話し合ったときは、いろいろ意見がぶつかった気がします。でも、一度自分で元のアニメをきちんと見直してみて、この作品は誰が主役っていうポジションでもない群像劇だと気がついたんです。マリン・エクスプレスという象徴と、科学と自然の関係というテーマがあり、登場人物はそれぞれの想いに従って行動する。その様子が重層的に描かれていく群像劇がこの作品の本質で、だからこそアニメもスターシステムで作られていたのかと納得したんです。私個人としては、それからはいい意味でキャラクターへのこだわりがなくなってすんなり進みましたね」

池原「個人的な話でいえば、冒頭の印象もあってやっぱり主役はヒゲオヤジのように思えるんですけどね。ストーリーを進めていく狂言回しで、全体を見ている人物ですし。ただ、3話以降でストーリーの幅が広がっていくのに合わせて群像劇としての面も強くなり、キャラクター同士がどんどん交錯するようになる。そうなると話があっちに行ったりこっちに行ったりするので、描いている方はちょっと混乱したりもします(笑)」

――絵柄について、手塚先生のタッチを再現する際に注意されている点などはあるんでしょうか。

池原「それはやっぱり線ですね。自分の作品を描いているときとは違う、手塚先生らしい線になるように意識しています。自分のオリジナル作品を描く場合、手塚先生と同じ絵を描いていても仕事にならないですから、必要に応じてタッチを変えて劇画調にしてみたり……。子供向け、普通の少年誌用、青年誌用と、3種類くらいは違ったタッチを描き分けられないと。マンガの内容に絵が合わないと、ストーリーもちゃんと伝わらないんですよね。『マリン・エクスプレス』に関しては、もともとが手塚先生の作品ですから、その絵になるべく近づけるタッチを選んでいます。

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 僕はもともと手塚先生のファンでしたし、その結果、先生のアシスタントを3年ほどやっていましたから……手塚キャラを描くことにも抵抗がないですし、そこで苦労しているという気持ちはほとんどないです。アシスタントをしていた当時より、ちょっとは上手くなっていますし(笑) 今、存命しているマンガ家の中では、先生のキャラクターをそっくりに描ける方じゃないかとは思っています」

石渡「でもやっぱり『マリン・エクスプレス』も、最初から見直すと絵は変わってきていますよね」

池原「どうしても描き続けると絵としては変わってきてしまうんですよね。特に女の子のキャラクターを描くときは、自分のクセが出てしまいやすいなあと感じてます。個人的には、劇中のチャッピー、和登さんですね。彼女の顔がちょっと苦手で(笑)。最初よりも最近のほうが可愛く描けてると思うんですが」

――マリン・エクスプレスを始め、メカ描写についてもさまざまなデザイン変更が行われています。こちらのデザインも池原先生ご自身で?

池原「そうです。インタビューということでマリン・エクスプレスの設定画を持ってきたんですが、10両編成で、縦横6メートルと、新幹線よりひとまわり大きい。それで時速1000km、だいたいジェット戦闘機と同じくらいの速度で走るとして、空気抵抗も大きいでしょう。だとすると流線型を活かしたデザインのほうがいいだろうと思い、わりとゴツゴツしていたアニメ版と違うデザインにしています。カラーリングもけっこうこだわってね。

 僕はちょっと科学オタク的な部分があるんで、きちんと決めておかないと気になってしまって描けないんです。モノレールやリニアモーターカーの基地みたいなシーンも、僕の趣味で入れているところがありますね(笑) 途中の島の駅なども新しく描き起こしていますし、2巻でもアニメとはまた違ったメカや、風景を見ていただけますよ。描くのは大変なんですけど……(笑)」

――そういえば『マリン・エクスプレス』はアシスタントさんを含めて何人くらいの規模で描かれているんですか? かなり緻密に書き込まれた場面も多いですが。

池原「ほぼ2人ですよ。昔からの知り合いにメカなんかを担当してもらっています。マリン・エクスプレスが出発するシーンの人混みなんかはやっぱり大変ですけど、まあ描くしかないですから。この先も山ほどの人数を描かなきゃいけない部分が出てくる気がしていて、今からちょっとドキドキしています(笑)」

――インタビュー第2回はここまで。次回は発売を迎えた2巻の見どころや、これからの『マリン・エクスプレス』の展望。さらに2017年の「手塚治虫生誕90周年」に向けた動きなどもうかがいます。

<第1回>手塚プロ自身が取り組む『マリン・エクスプレス』の復活・その経緯

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――まずは、アニメーションのコミカライズをすることになった経緯からお聞かせ下さい。

中島「コミカライズのスタートラインに立ったのは、2016年の「手塚治虫マンガ家デビュー70周年」に合わせた記念事業で、数年前からいろいろな企画を考えはじめたことでした。手塚作品を元にした「翻案もの」を、日本はもちろん世界に向けても発表できないかを、みんなで考えていたんです。

 この時代ですからデジタルデバイス向けの企画は外せなかったわけですが、インターネットも活用して全世界に手塚マンガを広めたいのであれば、単純に先生のマンガを電子化したものより、動画を使ったコンテンツが圧倒的に適しているという話になったんです。私が聞いている限りだと、コンテンツの流通規模を比較すると動画は電子化されたマンガの10倍ほどになるそうですね。

 それで、なんとか動画を活用できないか考えていた時に、広告代理店さんから「我々がやっているモーションマンガの技術を使い、マンガの世界を動画で紹介するコンテンツを作っては?」とご提案頂いたんです。でも、手塚作品そのものを修正したり、改ざんすることは一切できないので、動画にしてダイナミックな演出を取り入れたりするのがなかなか難しいという面もあって……」

――確かに、作品を切り貼りするような表現は難しそうなイメージですね。

中島「そのうえでどうしたら新しいものを創れるか考え、70周年記念事業に合わせて、新たな作品を描き起こしたらどうか、という話になったんです。手塚先生が描いたものでなければ比較的いろいろな挑戦もしやすいですよ、とご提案させていただいたわけです。

 それとは別の70周年企画で、先生の描いたマンガ作品を改めて別の作家が翻案して描くという案もあって。ただ当時は「先生がすでに完成させている作品を、改めて第三者が描くのはおかしくないか?」と問題視する意識があって。そういったやり取りの中から「先生がアニメの原作として描いて、マンガにはしていない作品を改めてコミカライズして、70周年記念事業のひとつとして発表しよう」という案が出てきました。

 そんな感じで別々の流れで動いていたものがあり、結果として「その両方をつなげることでもっとコンテンツの幅を広げられるね」という話になり、ホーム社にコミカライズに関してご協力いただけませんかと相談したんです」

――企画の題材が『マリン・エクスプレス』に決まったのはいつ頃のことでしょう。

石渡「企画自体が立ち上がったのは3、4年前で、『マリン・エクスプレス』で行くことが決まり、池原先生と相談させていただいて……。実際のマンガ制作の作業がスタートしたのは2014年の10月ぐらいでしたよね? 手塚プロダクションの社内では、過去にも『マリン・エクスプレス』をリバイバルしたいという話が一時期出ていたりして、「いつかは何らかのかたちで復活させたい」という思いがあったんですよね」

中島「『マリン・エクスプレス』はその前にも「映画で……」なんて話があった気がしますけど、どうだったかなあ。リバイバルの話は、出てきてもあまりはっきりしないまま流れちゃったりもしやすいんです」

石渡「今回の70周年記念というひとつのきっかけが、関係者のみなさんに「何かやってみよう」と思える環境を作ってくれたからこそ、『マリン・エクスプレス』を復活させられたんですよね」

――シナリオは大まかな流れはアニメ版がベースですが、細かく見ているといろいろ違いもありますね。

石渡「そうですね。シナリオは私たちが最初にみんなでワイワイ相談して、そこで出た意見を自分がいったんまとめて、それを元にまた相談して固めたものを池原先生に渡して、ネームを描いてもらいます。さらに、いったん上がったネームに対してこうしたほうがいいんじゃないかと話し合いをして、その意見を参考にしてもらいつつ池原先生にペン入れをしてもらい、最後にセリフを入れる段階でまた手を入れています。

 文字でシナリオを書いていると、シーンをうまく説明しようとしてセリフが長くなってしまいがちなんです。でも実際に絵が入ると、そこまで長いセリフが必要ない場合も多くて……。そういった部分をチェックして、ホーム社に渡すときに、セリフを差し替えてもらうというのが最後の作業になりますね。

 今は基本的にシナリオを自分が構成して、それを池原先生にマンガにしてもらう形式でやっていますが、時々流れが違ってくるケースもあります。実際、最初の1~2話はシナリオも含めてほぼすべて池原先生がやっていて、今のように自分が手を入れさせてもらっているのは3話目以降からです」

池原「第1話なんかはほとんどアニメの絵コンテにそって描いていますね。でもガールズバンドのマリンEXや、アニメ版に出てきていないキリコなどは、自分がアイデアを膨らませて作っている部分です。3話目以降は、全体に話が広がってだいぶ込みいったストーリーになってきたので、石渡さんに入っていただき、全体のシナリオ構成をお任せしています」

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――37年前のアニメをマンガ化するにあたり、気をつけていらっしゃる点は?

池原「そもそもマンガの場合は、ページの制約がある中でコマ割りを考える必要があったり、映像であるアニメとは表現方法が大きく違ってきますね。内容についても主人公がマサトに交代していたり、演じるキャラクターがだいぶ変更されていますし、描く上ではまったくの別物と考えていただいていいと思います。元は主人公だったロックのようにアニメと役柄が違う人物もいるし、余計なキャラクターもけっこう出ていますから(笑)」

石渡「シナリオも、1979年に放映されたアニメから設定をだいぶ変えている部分もあります。手塚先生の中では2時間モノの子供向けアニメとして作った作品だったわけですが、今このマンガを読むであろう読者層を考えると、やっぱり子供じゃないだろうと。海洋開発に関する背景なども、昔と今ではいろいろ変わっていますし、子供の頃にアニメを見て大人になった世代が読んだときに、納得してもらえるものにしたいと思いました。手塚先生の描いた絵コンテ集を拝見していると、ボツになった企画もたくさんあって。海洋開発に関する政府間のドロドロした思惑みたいなものも絵コンテには描かれていたので、そういった部分もしっかり背景として取り入れつつ、今見ても納得できるような肉付けをするよう心がけています。

 あとは飛躍した展開として、アニメではこの表現でとどまっていたけど、本当はもっとしっかり広げて見せたほうがいいんじゃないかと感じた部分を肉付けしています。例えば「なぜマリン・エクスプレスが必要だったのか?」といった部分などでしょうか……。だって実際のところ、「太平洋を横断するなら飛行機でいいんじゃない?」と思っちゃいますよね?(笑) 景色にしても、実際の海底って100mより下は光が届かない真っ暗な世界ですし、そこにインフラとして列車が走る巨大なパイプラインを引く労力を考えると……。それを納得いくよう説明するために、最近話題になっている海底資源について調べてみると、海って国の、いわゆる経済排他的水域とかの外の公海は誰のものでもないんです。じゃあ、そこを広げて……って、今回ここまで話してよかったんですっけ?(笑)」

池原「まだその部分については詳しく描いてないんですけど……(笑)。1月19日(木)発売の2巻目を読んでいただくと、それにまつわるやり取りがだんだんと出てきますよ」

――インタビュー第1回はここまで。次回は、具体的なマンガ制作についてさらに深くお話を伺います。

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